東京オリンピックの聖火を飛行機で運ぼう 2015年9月1日廣谷 精

今年の夏は非常に暑かった。特に熱射病で倒れる人が多く、益々炭酸ガスの減少を進めなければという感じが強くなってきた。EUは飛行機の燃料にバイオマスエネルギーを10%以上使用しなければ、2020年にはEUを飛ぶことが出来ないとの法律を通した。
日本は慌てて「次世代航空機燃料イニシアチブ」を、2020年までに非原油系のバイオマス航空機燃料を実用化するためのロードマップを発表した。オリンピック・パラリンピックでは、バイオなど次世代燃料を使った国産小型ジェット旅客機「MRJ」が聖火を運ぶ。産学官の46組織で構成しており、対象燃料は6種類を考えている。都市ゴミと微細藻類、天然油脂、廃食用油、非可食バイオマス、木質草本系バイオマスである。それぞれASTMを取らなければいけない。バイオジェット燃料の安定な生産は勿論であり、燃料のサブライチェーンの確立は勿論、空港内の関連事業者との連携が必要である。
都市ゴミ、非可食バイオマス、廃食用油は技術としては分っているが原料として量的、品質的に安定していなければならないので企業として実施することを躊躇してしている。天然油脂は、代表となるのは大豆だと思う。しかしその栽培は農民に頼ることになるが高齢な者が多く、また面積効率が低く効率が悪く高価なものとなり、実現は難しい。その大豆輸入に頼る事になるが純粋な国産となるのかどうか。木質草本系バイオマスは企業として本格的に取り組んでいる企業は居ない。
結局頼るのは微細藻類だと思う。 一番有望だと思っているのは企業グループであるIHIとネオ・モルガン研究所であり、神戸大学の榎本藻(ボトリオコッカスの一種)を更に改良して遠心機を使わない等でコストを下げる工夫をしていて、鹿児島に設備(1500㎡)を造っている。JX日鉱日石エネルギーと日立プラントテクノロジー、ユーグレナ(株)のグループ企業は米国で航空機向けの次世代バイオ燃料の研究を始めており可能性は高い。しかし最終のコストがどうなるかが問題である。400円~300円/Lになるのではないかと思う。
経済産業省が「導入までの道筋検討委員会」を設置し、実現に向けて活動を開始した。国産バイオジェット燃料が充分確保できない場合のオプションとして海外からの燃料調達もあるか、と言う項目がある。微生物・藻を使ってジェット燃料を造るに関しては矢張り米国が進んでいる。日立建機(株)がSolazyme(社)から輸入し、建設機械の運転にBDFとしてテストしたものと思われるが、まだジェット燃料として日本でテストしているかどうかは分らない。クロレラを使用して発酵槽で培養しているようである。Amyris(社)はブラジルで工場を造り、イーストで糖蜜を使って炭化水素を造り、そのまま「ドロップインフューエル」に使えるようになっている。Algenol(社)はアルコール以外にシアノバクテリア
を使用してジェット燃料も造れるようである(詳細は分らない)。
しかし東京オリンピックであるからには日本製の飛行機で、日本製のジェット燃料で聖火を運びたいと思うのだが・・・     以上

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