森林経営計画制度・FITを活用した森林再生への取り組み 近藤亮介 記 福島巖

Bioフォレステーション社 長近藤亮介の講演内容       2015年1月20日
― 森林経営計画制度・FITを活用した森林再生への取り組み ―
1.高効率バイオマス発電所に木質チップを供給する
今後の建築廃材の発生を見通した所、住宅は木造からコンクリートなど非木造住宅に変化している。このため建築廃材は現在がピークで今後は減少の一途をたどることがハッキリしてきている。このためバイオマス発電量の維持・拡大をしていくには未利用間伐材の利用が必須条件になってくる。
2.固定価格電力買取制度(FIT)
再生可能エネルギーを大幅に増やそうという政府の方針の下、太陽光や風力などと共に生物資源バイオマス発電も支援対象になっている。
*電力の買取価格は次のベース値(税抜き)が設定されている(円/kWh)
a.未利用材    32(間伐材など)
b.一般材        24(剪定材など)
c.廃棄物     17(木質以外の物質)
d.リサイクル材  13(建築廃材など)

*現在の木質バイオマス発生量とその利用度
発生量(万㎥)  利用されている比率
a.未利用材      2、000    ほとんど未利用・・・現地に放置
b.製材工場など残材    850    95%利用
c.建築廃材など   約1、000    90%利用
建築廃材の2倍にあたる量が伐採されたまま放置されている。

*木材の出荷価格(森林組合からヒアリング) 対象スギ材  円/㎥
柱などに使う高級材   11,000
合板に使う材料      7,000
集成ラミナー材      9,000
チップ用材        4,000

*間伐材のチップ製造原価:
造材・集材・配材・積込み・運搬・積卸の一連の作業には、補助金を差し引いても10、000円/㎥以上はかかっている。発電用バイオマス素材の見積単価4000円/㎥とは余りにもかけ離れた数字になっているので発電チップの供給は無く切り捨て間伐に終っている。

*価格算定委員会の見積もり
チップ工場渡しの素材費: 5,000円/t 水分60%(生木)
発電所渡しのチップ費用:12,000円/t
乾燥後水分39%   7,600円/t +チップ加工、乾燥、保管、運搬の費用4,400円/t
このような見方をすれば理にかなっている面もあるが。

チップ用素材の市場単価例(円/生t) 水分60%として
会津 5,000
日南 6,000
岩手 7,000
松阪 7,500
最終的に8,000円/生t(6,600円/㎥)に収束すると仮定した場合でも切り捨て間伐に終わり発電所には届かない。
更に未利用の間伐材であることを証明する手続きが必要で中間段階でチェック、証明書の発行など様々な手続きが必要で単価を引き上げる要因になっている。

このような意味で建築廃材や樹木の剪定材などFITで安く設定されている種目の方が採算ベースに乗っていて、大規模な製材所を持つバイオマス発電所の経営は軌道に乗るものと考えられる。

3.Bioフォレステーション(株)の事業展開
間伐材を収集し発電所に送り込むビジネスを展開しようとしている。どのような構想でそれが可能になるのか ― 次の三点に焦点を当てている。
(1)最も熱効率の高い発電所を選んで少ない量で最大の発電量を獲得する。標準型のバイオマス発電所は5千kW規模で発電効率は20%前後であるとされている。規模の大小にかかわらず発電効率の更に高い所、発電に付随して発生する蒸気を有効利用できて総合熱効率の高いところを選んでいく。
(2)神奈川県の水源林を保護するための補助金
神奈川県は水源の森林および地域水源林を保護するため集材を伴う間伐材の搬出に対して素材㎥当り13,500円の補助金を出す条例を定めている。この補助金は他地域とは全く異なる恩恵で間伐材に対するエールである。
(3)間伐材チップをバイオマス発電所の主流にするためのシステムの開発。
間伐材チップをいかに安く発電所に届けるかがメインテーマである。箱根で培った経験・技術をベースに全国各地で展開が可能になるよう新たな分野を開拓していきたい。

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