物質は、一般に固体、液体、気体のいずれかの状態で存在しますが温度と圧力を上げていってある点「臨界点」を越えると別の状態になります。 液体のように物質を容易に溶解しかつ気体のように大きな拡散速度を示す、両者の性質を兼ね備えた状態になります。
この物質を「超臨界流体」とよびます。 二酸化炭素やアルコール、水などを超臨界流体にすることで、それぞれの特性を活かし、食品・エネルギー・環境・ 医療など幅広い分野での活用が可能になっています。
バイオマスなど生物資源から有用な資源を抽出する一つの手段として検討されています。
超臨界の反応条件
図2 二酸化炭素と水の超臨界条件
超臨界に達すると圧力を少し変えるだけで大きな密度変化が得られることから大きな溶解度差を得るられる。
また低粘性で高拡散性の性質を持っているので液体溶媒より物質移動の点で便利に使われている。熱容量や熱伝導度が大きく,高い熱移動速度も得られる。これらの効果により大きな化学反応速度が得られることが特徴である。反応速度の制御も可能である。
超臨界水の利用例では難分解性のPCBやダイオキシンの有害物質を分解できる。
超臨界二酸化炭素は通常では炭酸ガスとして存在しているが圧力を上げていくと液体に変化するのでスプレーとして多量に使われている。食品成分の抽出や医療器具の殺菌などにも利用されている。