蔵前バイオ通信 第7号 2010年10月01日

*******************目次 ***********************

1.元環境大臣斉藤鉄夫氏による講演会
2. 飯能地区で四大学協議会がはじまる
.Kシステムの基礎実験を開始
4.山林の売買について
5.新会員武藤さんの紹介
6.ホームページの改定作業
7.ホームページの内容と更新状況
8.世界のバイオ情報佐野レポートから抜粋
(1)バイオ燃料用エンジンの開発の必要性
(2)CO2排出削減とエネルギー技術の限界
(3)炭酸ガスと植物の関係
(4)熾烈な第二世代バイオ燃料の先陣争い
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1.元環境大臣斉藤鉄夫氏による講演会­­­­


9月9日東工大百年記念会館ホールにて斉藤鉄夫衆議院議員の講演があった。
関係者の努力で181名に及ぶ大勢の参加者で場外席まで設ける盛況ぶりだった。
現在温室ガス排出は京都議定書に規定されている。
その後2014年からから始まる次の期間の取り決めがどう決まるが日本にとっては
正念場になる。排出量の50%を占める米国と中国をいかにして規制の対象国に組
み込むかが外交交渉の最大のポイント。
日本の技術を生かして開発地上国(例えばインド)で発電所の建設を実施できれば
炭酸ガスの排出量を大幅に削減できる。
それを日本の排出枠にカウントできる仕組みを認めてもらう内容になれば世界の排
出量削減に大きく貢献できる。最悪のケースは京都議定書の延長である。
斉藤さんは修士卒業の時博士課程に行きたかったが教授に反対されたこと、政治の
舞台裏の話を含め大変楽しく有意義な話を伺うことができた。


2.       飯能地区で四大学協議会がはじまる  


飯能市には駿河台大学があり地域の特性を生かす林業について関心を持ってい
る。慶応大学グループと東大大学院で学習中の大河原さんがこの地域をもっと
活性化させるにはどうするか検討している。
このような状況を踏まえて我々グループ(東工大)も加わり飯能市商工会議所
を含めた4大学連合協議会を結成した。
目的はいかにして地域の活性化をはかり林業を復活させていくかにある。
定期的な会合を重ねて有意義なものにしてゆきたい。


3.Kシステムの基礎実験を開始


実験をするため各種補助金を申請するもことごとく採用されず時間を空費するので、
なけなしの会の費用を使って基礎実験を行うことになった。
駿河台大学所有の山林を利用し若い学生達に手伝ってもらって実験を進める計画で
ある。システムの特長であるチェーンの取り扱いがメーンである。
付設にはボートウィンチを使うが地元の専門家に協力をお願いしている。
どのくらいの負荷がかかるか、どんな問題が発生するかキー項目について調査を行う
ことにしている。10月中には終了予定。


4. 山林の売買について


9月NHKの番組クロズアップ現代で日本の山林が外国資本(中国が多い)に
買われている実情が紹介された。
山主にとってみれば市場価格の5倍もの提示があれば抵抗なく売ってしまう。
農地と違い取引の事後報告のみで済むため所管部署が状況を把握してない。
山林は治水管理、水源、炭酸ガスの吸収といった機能を保持しており間伐、植
林等を適切に管理していなければ維持することが難しい。
現在山林は農地と違いどのように使うか規制がない。
機能を維持していくため強制的に管理組合に参加するとか用途の規制を行うとか
対策が必要である。水源とか高地は国有化または都道府県所有の公有地にする考
えもある。早急に規制内容を検討実施する必要がある。
無条件で投機の対象になるならば範囲が広いだけに日本の領土が侵害される心配
にもなる。


5.ホームページの改訂


ホームページの登録件数が増えると共に見難くなってきたので改訂作業を検討中である。
ブログの分類を細かくして見易くすると同時に容量を増やす、主張や意見を述べる場所を
作るなど考えています。
Q&Aを設けてバイオに関する疑問点を解消しもっとバイオを身近に引き寄せたいとも考
慮中です。


6.新会員武藤さんの紹介


9月武藤さんが本会に参加されました。彼は群馬県で農業を経営される現役で、
今、農村が崩壊してしまう危機的な段階にあると認識し救済策のヒントを当会に求
めています。放置された棚田を活用して事業展開できないか・・等。
農林業の現場事情に明るい人に加わっていただき会の幅が広がりました。
協力して何か一つでも成果がでたら良いなあと期待しています。


**********  7.ホームページの更新状況  **********


(1)森が消えれば海も死ぬ 第2編  松永 勝彦 
日本の沿岸海域では多くの問題をかかえている。森が伐採され、残った人工林も適切
な管理がなされなかったことに加えて、ダムの建設で河川からの豊かな腐植土が海に
届かなくなったのが原因でニシン御殿までできた場所に魚がいなくなってしまった。
山と漁業の関係、特に鉄分が漁業に及ぼす影響について解説しー山に木を植えようと
アピールしている。
(2)地球最後の世代 – フレッド・ピアス
「著者が世界中の科学者を訪ね歩き目の当たりにした地球――それは一刻の猶予もな
らぬ危機的状態だった。私たちは、穏やかな気候の地球に生きる最後の世代になるか
もしれない。」
(3)大気を変える錬金術 トーマス・ヘイガー、ハーバー・ボッシュと化学の世紀
――この2人によって雷と根粒バクテリアによってのみ作られていた窒素肥料が人工
的に作られるようになって多くの人類を飢餓から
解放し幸福をもたらした。
反面植物に必要な量とほぼ同量の肥料が湖や海に流れ込み魚が住まない海域汚染をも
たらしている。
(4)必要なエネルギーとその供給源
メルマガ6号にて解説した通りバイオマスをエネルギーに取り込んだ場合必要量の約
5%はまかなえる可能性があることを示した。
(5)幻想のバイオマスは幻想である   広谷 精
久保田宏先生が「幻想のバイオ燃料」を発刊しました。先生の主張「日本にはバイオ
がない」、「ジーゼルやアルコールを生産すべきでなく、
輸入すべきでもない」に対
しての反論である。

米国で進展している活発な開発の現状と日本でも広大な耕作放棄地を活用すれば充分
可能性があるという意見である。


**********  8.世界のバイオ情報佐野レポートから抜粋  **********


(1)    バイオ燃料用エンジンの開発
バイオ燃料の開発状況が明るくなってきたことからかこれに対応するエンジンの開
発が必要だとする動きが出てきた。サンディアで先進エネルギー構想の主管者は
「石油会社とエンジンメーカ間の協調には100年近い歴史がある。燃料化学とエンジ
ン性能特性とを関連させるというテーマに注目している」(2)    CO2排出削減とエネルギー技術の限界
今のエネルギー技術では、気候変動を緩和するほどCO2の排出レベルを下げるのは難
しいと、ニューヨーク大学のMartin Hが発表した。
いまの気候モデルでは大気中のCO2濃度を450ppm以下に留める必要がある。
現在の大気中CO2濃度は385ppmで、産業革命前より100ppm高く今後さらに高くなるこ
とが予想される。この原因を二つ挙げると。
a.太陽光、風力発電が市場に浸透してないのとエネルギー貯蓄技術が未完成なこと。
b.石炭発電所が中・印・米で増えていることとカーボン・ニュートラル技術開発費
用が化石燃料に対する助成の1/12にも達していないこと。
いずれにせよまだ傍観者の立場であり真剣でないということ。(3)  炭酸ガスと植物の関係
カリフォルニア大学の植物学教授Arnold J. Bloomは、大気中の二酸化炭素が多くなる
と植物によいという説は疑問だという。最近の研究ではほとんどの植物は高いレベル
の二酸化炭素に接することによって、土壌の重要な成分/硝酸塩を処理する能力が低下
すると考えられている。二酸化炭素の排出がいまのペースで増え続ければ、小麦など
多くの食糧の収率が、2050年までに20%も減る可能性がある。(4)    熾烈な第二世代バイオ燃料の先陣争い
Gevoが現有のエタノール工場をイソブタノール工場に改造することを決めた。その前に
LS9が植物中の糖質からガソリンに類似したハイドロカーボンを合成できる遺伝子を
発見した。これらのドロップインバイオ燃料 (輸送や貯蔵に既存設備をそのまま使える
バイオ燃料) は、バイオエタノールやバイオジーゼルと異なりガソリンやジーゼルと化
学的な類似点があるので、エタノールのようにガソリン添加物ではなく、ガソリンに直
接代替できる。

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